よくある質問にお答えします

認証を申請する組織・団体からの質問

Q1.
新しく認定制度を立ち上げ、認証を受ける手順は?
A1.
 現在、各種の団体(大学、同窓会、職域団体等)や任意の組織で、薬剤師の生涯学習のための研修会などが実施されていますが、それらの中で、薬剤師の職能向上に役立つ内容の研修を、責任を持って計画的に提供できる、継続性のある組織や団体であれば、生涯研修プロバイダーとして独自の認定制度を始めることができます。
 プロバイダーは、公正、中立と、公開が原則です。具体的には、本認証機構の「認証事業実施要綱」に沿い、「認証申請の指針」に従って認証を申請することができます。
 アメリカの例で見ると、生涯研修プロバイダーには薬系大学と、職域団体・支部等と、教育企業がほぼ1/4ずつを形成し、残りが医療機関や出版企業等となっています。わが国でも、組織・人材が備わっている薬科大学がプロバイダーの第一候補と考えられますが、優れた実績のある地域薬剤師団体、職能団体とその支部、あるいは薬剤師の生涯研修を目的とする法人などの参画も大いに期待されるところです。
Q2.
認証申請を評価する項目とその基準は?
A2.
 本認証は、申請者のランク付けや採否を決めるものではなく、認定制度の内容を良くするためのものです。さらに、認定制度の内容は、研修目的や対象受講者によって様々です。したがって、一定のチェックリストで評点をつけますが、それを集計して自動的に判定すれば済むというものではありません。「認証申請の指針」に評価の項目とおおよその判断基準を示し、認証基準への適不適の判断は認定制度委員のご意見を集約して決めています。
Q3.
生涯研修プロバイダーの機能と具備条件は?
A3.
 生涯研修プロバイダーの機能は、質の高い研修等の提供と、受講生に対する単位給付と、認定証発行です。生涯研修プロバイダーは、非営利の組織であって、適切な研修プログラムを計画し実施するための体制を備え、種々の履修法により誰でも受講できるように研修は原則としてすべての薬剤師に対して公開とし、受講者に対して妥当な単位を給付し、研修内容の評価や受講者の受講記録等の体制を有し、資格取得者を認定することのできる機関である必要があります。
 現段階では、プロバイダー自身が主催して年間15~20時間程度以上の研修会は行なって欲しいと考えています。もちろんそれより多く行えればそれに越したことはありませんが、内容に責任を持っていただかなければなりません。将来プロバイダーが増えれば、学会や、他のプロバイダーの研修を受けることによっても単位が取れますので、一箇所のプロバイダーに特に多くの研修を求める必要はなくなると思います。
 認証機構は、プロバイダーの認証の最重点を、提供する研修内容の評価、すなわち給付される「単位」の質的保証においています。それは、他機関からでも認定を受けられるように、研修の質が水準以上(均質)であることを認証により確認するためです。
Q4.
「特定領域認定制度」を計画したいのですが。
A4.
 これは、「生涯研修認定制度」の一部です。生涯研修プロバイダーが、特定の分野・課題について薬剤師としての職能を高めるために、ある程度まとまった回数あるいは期間で、数十時間を費やして適切なプログラムにしたがい研修を行ない、習得した成果を認定する制度です。
学習課題は、「専門薬剤師制度」と類似する場合もありますが、専門薬剤師が、能力の保証を目的とするのに対し、これはあくまでも専門性向上のための学習課程の修了を証明するものです。したがって、専門薬剤師制度のように特定領域での実務経験を求めたり、特定分野の研究実績を必要としたりするような高いハードルを課す必要はありません。
 認証申請に当たっては、先ず生涯研修プロバイダーとしての機能を備えてください。設定する特定領域分野と到達目標から見て、研修計画の妥当性を示すことが必要条件です。原則として事前にある程度受講者を選抜し、事後評価として試問あるいは試験を行ない、合格者を認定するようにします。
 そのほかこちらを参照してください。
Q5.
専門薬剤師認定制度を設立するプロセスは?
A5.
 専門薬剤師制度というのは、専門領域の学会や協会が定めた能力基準を満足するような専門能力をもつ薬剤師を学・協会が保証する制度です。認証機構としては、他の医療職や患者からの信頼を得て医療に貢献できるように、次のような原則的な条件を提案しています。
1)実施に責任を持つ機関や団体(学会、協会等)が、選ぼうとする課題や領域の専門家グループを全国的視野で組織し、薬剤師実務領域での重要性や要望度及び問題点を検討して、認定の領域と目的を明確にする。
2)その結果に基づき、履修すべきカリキュラムや、必要に応じて実習の期間と内容を設定する。
3)必要に応じて研修の講師、指導者等を選定しプログラムを策定する。
4)ついで履修成果を実証するための試問や試験の関連事項を定める。履修の方法(座学、遠隔、独学)に関わらず判定基準は一律とする。
 なお、認証というのは、実施される制度が信頼に値することを保証することが役目ですので、制度自身が公に保証されていて患者や他の医療職からの信頼を得られるものであれば認証を受ける必要はありません。
Q6.
認定制度開始前に認証を受ける必要がありますか?
A6.
 薬剤師の研修と認定制度を開始するのに何の条件も認証も不要です。
 制度を発足する前でも、発足して実績を積んだ後でも、いずれでも認証は受けられます。しかし、認証の申請書には、プロバイダーが提供する研修の内容や、その企画方針、運営の具体的方法、評価法などを記入していただかなければなりません。それらをもとに評価が行なわれます。したがって、制度を始める前の「予定」や「未定」の多い状態では申請は困難と思われます。
 研修や認定について一定期間経験と実績を積んだ後に、その内容について認証を申請して頂くほうが、責任ある生涯学習プロバイダーになっていただき易いと思います。
Q7.
非営利というのはどういう判断基準ですか?
A7.
①非営利組織は、利潤の追求を事業の目的にしていないことが大前提です。
②製薬企業や卸その他の企業でも、研修や認定を目的とした独立の実施母体をつくり資金等の支援をするケースは認めても良いと思います。ただし、認定制度実施母体は独立の組織とし、事業執行のメンバーが一定期間継続して責任ある対応をとれることが必要であり、任意団体であっても法人組織(事務所、役員、事業内容、経理等が明確になっている)に準じる組織を持つことが望ましいと考えます。
③実施母体の責任者が他の営利組織に従属していたり、事業内容に営利企業の意見が働いたりするような組織は好ましくありません。
④実施母体の収益は認定事業の運営費に充当すべきであり、事業内容に定められていない使途があるのは好ましくありません。
⑤研修や認定を利益誘導(顧客拡大や販売促進等)に利用することがあってはなりません。顧客になれば、あるいは何かを購入すれば、研修受講料や認定経費が安くなるなどの方法をもって営業促進を図る等の事実がある場合は非営利とは認められません。
⑥会費を徴収する会員組織(社団法人等)が、会員と非会員の間で研修の受講や認定取得の経費負担額に差を設けることはやむを得ないが、認定取得要件や受験資格に会員であることや会員歴をもとめることは、薬剤師の能力・適性を評価するために必要といえる場合に限ります。会員増を目的にした条件であってはなりません。
Q8.
認定制度の育成・支援はどのように行われますか?
A8.
 事務局は、評価のための申請書及び資料に形式的な不足がないことだけを確かめた後、予備審査などは行なわず、委員に評価を付託することとなります。ただし、予めホームページ等で公表しているプロバイダーの条件や認定制度の原則に照らして、明らかに不足していたり違反するところがあったりする場合には、それを指摘して、制度あるいは実施母体をよりよいものにするように協力を依頼する等の指導あるいは相談を行なっています。
Q9.
認定の条件となる取得単位数はどの程度?
A9.
 現段階において認証機構は、生涯学習認定制度について、年間15時間/10単位以上で、30ないし40単位以上の取得という認定基準を、薬剤師の継続的学習を確認する最低限の条件としています。生涯学習認定は免許の更新と同じ意義を持ち、各薬剤師が、自ら学習の計画を立て、継続して学習することが重要なのであり、認定証は、学習の意欲と、継続しているという実績を証明するために発給するものと考えていますから、原則として研修内容を特定しません。また、一介の試験などで成果を試すのは適切ではないと考え、試験を必要条件とはしていません(プロバイダーのお考えで、認定の際に試験や試問を行なうことは自由です)。「確かに継続して研修をしている」ことと、「何を学習したか」ということが、研修内容の記録により明らかになっていること(トレーサビリティ)が重要と考えています。
 今後、生涯学習認定制度の中で、初任レベルと高度レベルとか、特定課題に集中して研修する特定領域認定制度とか、いくつかの種類や段階を持たせたものが期待されていますが、上級認定や特定の目的を持った特定領域認定制度には、上記標準の取得単位のほかに、特定の指定研修や上乗せ認定条件が提示されるのは当然であり推奨されます。
 さらに、専門薬剤師認定制度は、それぞれ独自の目的をもつので、研修や実習について一定の指定が定められ、試験が課せられるのは当然です。
Q10.
同様な課題の特定領域認定制度が乱立する傾向は?
A10.
 薬剤師が学習したい課題あるいは習得したい知識については、同じ課題で複数の制度が並立しても良いと考えます。事前に認証機構の評価が行なわれるので質の低い制度が乱立することはありません。いくつもの課題で特定領域の認定を継続して維持するような積極的学習は大歓迎です。
 これまで、専門性の高い薬剤師の養成を目指して、多くの地域で行なわれてきた研修プログラムを無駄にすることなく、組織化して「特定領域認定制度」に育てていただくことを期待します。
Q11.
生涯学習認定制度と特定領域認定制度あるいは専門薬剤師制度はどちらを先に認証申請すればよいのですか?
A11.
 どちらでも結構です。認証申請の評価には、事業母体の評価と事業内容の評価の両面があります。事業母体の評価はすべての認定制度に共通ですから、どちらを先に申請しても、先ずプロバイダーとしての所要の条件(事業目的、方針、運営体制、運営責任、継続性、財務・事務体制等)が評価され、その後に制度の内容が評価されます。一旦認証されれば、同一事業母体の別の認定制度の評価に当たっては事業母体の評価は省略されます。
Q12.
認証を受ける利点は? また何か義務を負いますか?
A12.
 認証というのは、認定事業の実施母体と認定制度の実施内容が、望ましい基準に適合していることを証明するものであり、事業と制度の社会的信頼を高める効果があります。将来は、薬剤師免許更新の手続きに有効な研修単位を給付できる機関という格付けになると考えています。
 認証受けた団体は、「認証に当たっての確認事項」にある申し合わせを遵守していただく必要があります。それは、自ら実施して単位を給付する研修には『識別番号』を付けること。認定書に、認証機構の認証を受けていることを示すためのロゴマークを入れること。認定書の発給数を定期的に認証機構に報告することなどからなっています。
Q13.
認証申請等に必要な経費は?
A13.
「認証事業実施要綱」の中の別添『認証に関わる経費』をご覧ください。
Q14.
これまでに認証を受けた認定制度は?
A14.
「本機構により認証された認定制度」に示すとおりです。
平成30年(2018年)11月現在、25件の生涯研修認定制度と5件の特定領域認定制度、及びその他のカテゴリー1件を含めて31件が認証を受けています。
Q15.
認証はいつまで有効ですか?
A15.
「認証事業実施要綱」の第12項にありますように、認定制度の認証は、初回は3年後に更新し、その後6年ごとに更新をします。更新に際しては実施母体より提出された自己評価報告書に基づき評価を行います。なお、認証時に提出されている各種必要資料の内容に変更の生じた場合には、第11項に従い、遅滞無く本機構に届け出をしていただきます。
Q16.
プロバイダーの研修の質が低い状態になったときには?
A16.
研修プロバイダーの行う研修の内容については、受講者によるモニタリングが重要であると考えています。受講者が、自ら参加した研修についてコメントがあれば、主催者、あるいは認証機構に申し出て欲しい旨を広報したいと考えています。もし質的に基準に適合しないという事実がはっきりすれば、「認証事業実施要綱」16項および「認証に当たっての確認事項」第7項により認証を取り消し公表します。
Q17.
現行の薬剤師の認定にはどんなものがありますか?
A17.
「既存の薬剤師認定制度およびその実施母体の紹介」で、現在の薬剤師が取得できる各種の認定を、目的と内容にしたがって分類して紹介します。
Q18.
地域薬局の集合体で認定制度を作る動向が見られるが?
A18.
 実施母体は非営利組織で、事業執行のメンバーが一定期間継続して責任ある対応をとれることが必要であり、任意団体であっても法人組織(事務所、役員、事業内容、経理等が明確になっている)に準じるものであって欲しいと思います。その上提供される研修プログラムが質の高いものであれば認定制度として認証のための評価の対象となることができます。
 なお、アメリカのACPEは、平成17年(2005年)1月の理事会で、製薬会社、医療機器会社の行なう生涯研修プロバイダーの認証を取り消しました(詳しくはこちら)。『非営利』の基準についてはこちらを参照してください。
Q19.
企業(薬局等)の集合体(社団等)により設立されたプロバイダーでは、会員企業の従業薬剤師に限定して他を排除する傾向が生まれるのではないですか?
A19.
生涯研修プロバイダーが認証機構の認証を受けるには、提供する研修を原則としてすべての薬剤師に公開することが条件となります。会費を徴収する会員組織(社団等)が、会員と非会員の間で研修の受講や認定取得の経費負担額に差を設けることはやむを得ませんが、受講の機会は会員外の薬剤師にも平等に提供することが認証の条件です。
Q20.
薬剤師以外の職種のものが認定を受けることは?
A20.
 薬剤師以外がプロバイダーの研修を受講することはあり得ます。しかし、認定証は薬剤師以外には給付しないことをあらかじめ受講生に知らせておく必要があります。研修センターが行なっている漢方薬・生薬認定薬剤師制度でもそのように取り扱っています。
Q21.
企業内研修を認定制度にすることはできますか?
A21.
 提供する研修が、薬剤師であれば誰でも希望すれば参加できるように公開でなければ、認証されません。
Q22.
認定要件として特定団体への加入歴等を定めた場合の評価は?
A22.
 生涯研修プロバイダーの主催する研修会等は会員・非会員に関わらず公開を原則とします。受講料に差をつけることは止むを得ません。認証を受けたプロバイダー間では単位の互換性が原則ですが、他プロバイダーから得た単位についての取り扱いは各プロバイダーにお任せします。
 専門薬剤師認定制度では特定の講義や実習を、認定取得要件あるいは受験資格条件として指定することは必要に応じて行なわれます。
 認定取得要件や受験資格条件として、特定の団体の加入歴や、一定の団体の出す認定資格などを含む場合には、それが当人の能力や適性を保証する上で、単位数や試験結果を補足する意味のあるものかどうか、が評価の基準となります。
Q23.
他の医療職も同時に学習するような制度の取り扱いは?
A23.
 生涯学習認定制度については、対象者の中に薬剤師がいれば、対象者全員が薬剤師でなくても、薬剤師に対してなされる生涯教育の質を保つために、制度を認証します。特に事業母体が薬学関係機関であれば、認定対象者の中に他職種の人がいたとしても当然認証対象とします。
 多職種の属する制度で、他領域事業母体(たとえば医学関係学会)からは申請が出ないことが多いでしょうが、認証はあくまでも申請主義ですから、申請が出れば内容の質次第で認証対象とします。
Q24.
免許が更新制に移行することと認証機構との関連は?
A24.
 「月刊薬事」の記事にアメリカの例を示していますが、わが国で将来免許が更新制になる場合に基本的に必要なことは、質の高い生涯研修プロバイダーが多数あって、生涯研修によって取得する単位の均質性が保証されていることです。そのために本認証機構が発足したのです。免許更新の条件がどのようになるかは未だ分かりませんが、一定期間内に生涯研修の一定単位を取ることが義務付けられることになると思われます。そうなれば、生涯学習で単位を取る方法はそれまでと全く変化はありませんが、単位で「認定」を取るのではなく「免許の更新」を申請することとなります。したがって、認定制度としては、専門薬剤師と特定領域認定のみが残り、研修認定薬剤師制度はなくなります。
Q25.
生涯研修プロバイダーが全国で50~100も必要な根拠は?
A25.
 「月刊薬事」の記事にもありますように、アメリカでは免許更新に有効な単位を給付する約400の生涯研修プロバイダーがACPEから認証されています。薬剤師の数も毎年の卒業生も日米ほぼ同数(日本のほうが多くなりつつある)です。国土の広さには差がありますが、わが国でも全国の実務に従事する薬剤師が生涯研修を義務として行なうことになると、特別の長距離の移動なしに講義による研修を受けられるためには、少なくとも50、できれば100程度の質の高いプロバイダーが、薬科大学の分布と同程度に全国に分布することが必要です。それにより、全国各地に薬剤師の生涯学習の機運が充実してくることにもなると思います。

認証機構の機能等に関する質問

Q26.
認証機構とは、何をするところ?
A26.
 薬剤師の生涯学習の質を維持するために、研修や認定の実施母体(プロバイダー)の事業内容について基準や評価指標を作り、あるいは改善の支援を行います。申し出があればその事業を評価して優れた内容である事を認証します。最終目標は、薬剤師免許が更新制になったときに、免許更新の申請に使える生涯学習単位のレベルを揃えることです。
 全国各地の薬剤師が、一定期間ごとに定められた単位に相当する研修を受けるためには、適正な内容の生涯研修を責任持って実施する生涯研修プロバイダーが、全国的に多数充実整備される必要があります。そしてそれらのプロバイダーの質を一定レベルに保つ事は、われわれ薬学関係者全体の社会に対する責任です。
 アメリカでは、免許更新に有効な単位を給付する約400の生涯研修プロバイダーがあり、ACPEがそれらを認証しています。認証機構は、ACPEの日本版を目指しています。アメリカにおける薬剤師の生涯研修に関してはこちらをご参照ください。
Q27.
認証の対象とする認定制度の種類は?
A27.
 生涯研修認定制度、専門薬剤師認定制度、及びその他の薬剤師認定制度の3種類です。生涯研修認定制度の中には特定領域認定制度が含まれます。これらの認定制度を事業として実施する母体からの申請に基づいて、実施母体の事業目的、運営実態、研修内容や認定制度の詳細を評価します。あくまでも、実施母体からの申請によって行われるものであり、当方より積極的に認証を申し入れることはありません。
 また、認証というのは、実施される制度が信頼に値することを、薬学全体で保証することが役目ですので、制度自身が別途、公に保証されていて、患者や他の医療職からの信頼を得られるものであれば認証を受ける必要はありません。
Q28.
個々の薬剤師の認定をしていますか?
A28.
 認証機構は各種の認定制度とその実施母体を認証(Accreditation)するのであって、個々の薬剤師の認定(Certification)は行いません。
Q29.
「特定領域認定」という制度は何ですか?
A29.
 これは、「生涯研修制度」の一部ですが、特定の分野・領域についての薬剤師としての職能を高めるために、適切に計画された学習を修めて知識・技能を習得した成果を認定する制度です。
 生涯研修制度の認証を受けたプロバイダーによって行なわれるのが原則です。ある程度まとまった回数あるいは期間で、数十時間を費やして一定のプログラムにしたがい行われる研修であり、原則として事前にある程度受講者を選抜し、事後評価として試問あるいは試験を行ない認定証が与えられます。学習課題は、「専門薬剤師制度」と類似する場合もありますが、専門薬剤師が、能力の保証を目的とするのに対し、これはあくまでも専門性向上のための学習課程の修了を証明するものです。
 専門薬剤師制度のように特定領域での実務経験を求めたり、特定分野の研究実績を必要としたりするような高いハードルを課さないことから、一般の病院勤務の薬剤師や保険薬局の方々もこれに挑戦することができます。そして、薬剤師の積極的業務活動に有効なアピールをすることができると思います。
 このカテゴリーは、アメリカでContinuing education(生涯研修)のなかで特定領域に焦点を絞って、一定のまとまったカリキュラムにしたがって行われる「職能向上のための研修」としてCertificate programと呼ばれているものに相当します。
 このカテゴリーについて平成11年(1999年)にACPEの独立した基準が作成されています(1999年以降、アメリカで古くからあったTraineeshipがこれに移行しつつあります)。ACPE基準によれば、15時間以上の講義となっていますが、アメリカでは20~60時間程度の例が多いようです。
 研修課題は、がんや糖尿病などの疾病領域、治療法、セルフケア、その他の患者ケア、治験、経営経済、ITあるいは基礎薬学に近い分野など、いろいろの例があります。現在日本薬剤師研修センターの行っている「漢方薬・生薬認定薬剤師制度」は、まだ認証を受けておりませんがこのカテゴリーに該当します。
 平成30年(2018年)11月現在、この制度で認証を受けたものは5件です。今後、薬剤師の職能向上を目標として、生涯研修プロバイダーの中で、このようなカテゴリーの認定事業を実施し、認証を受けるところが増えることを期待しています。
Q30.
第3の分類「その他の認定制度」とは何ですか?
A30.
 生涯学習と専門薬剤師の認定制度は、原則として薬剤師が直接患者に対応する場面で活用する職能についての認定ですが、「その他」というのはそれ以外、例えば治験、TDM、コミュニケーション指導、情報技術、実務実習指導など、職能を患者以外に対して活用するような場合を言います。平成30年(2018年)11月現在、このカテゴリーで認証を受けているのは「東北大学COE/MCS認定制度」です。
Q31.
認証に当たっての重点をどこにおいていますか?
A31.
 認証機構が認証の可否を判断するために評価を行う場合に、最も重点をおく点は、「生涯研修認定制度(特定領域認定を含む)」については提供される研修プログラムの質が水準以上であるかどうかであり、「専門薬剤師制度」については専門能力を保証し認定する基準(条件)が妥当であるかどうか、に集約されます。また、生涯研修認定制度については、実施母体が非営利で中立の立場の団体であること、および研修や認定の窓口が特定の集団に属する薬剤師ではなくすべての薬剤師に対して公開されていることを絶対の条件としています。
Q32.
研修内容の評価は、研修センターレベルで判断?
A32.
 認証機構が基準に適合する研修内容/単位としているのは、年間10単位で薬剤師の免許更新を認めるにふさわしい内容の研修であるかどうかの判断によります。
Q33.
薬学以外の学会による薬剤師認定への対応は?
A33.
 学会等が職種に関係なく認定している場合、「認定薬剤師」という称号を用いる制度であって、その学会等から認証申請があれば評価・認証を行います。しかし、認証は申請に基づいて行われるものであり、当方より積極的に認証を申し入れることはありません。
Q34.
認証申請が提出された後の評価作業のプロセスは?
A34.
 「認証事業実施要綱」を参照してください。
Q35.
認証申請を評価する項目とその基準は?
A35.
 本認証は、申請者のランク付けや採否を決めるものではなく、認定制度の内容を良くするためのものです。さらに、認定制度の内容は、研修目的や対象受講者によって様々です。したがって、一定のチェックリストで評価を行ないますが、評点を計算して自動的に判定するというものではありません。「認証申請の指針」に評価の項目とおおよその判断基準を示し、認証基準への適不適の判断は認定制度委員のご意見を集約して決めています。
Q36.
認証申請を評価する委員の選定基準は?
A36.
 認証機構の信頼性は公正適切な評価が行われることに懸かっていますので、この委員会の責任は重いと考えます。学識経験者、薬剤師実務関係者、薬剤師教育・研修関係者の中から、実質的に評価に時間を割いていただける方で、見識と実績を有し適正な評価をお願いできる方々を選び、理事会の承認を得たものです。全部で25名の方にお願いしています。任期は二年(重任可)です。
Q37.
評価は複数委員の「合議制」で行うのでしょうか?
A37.
 課題ごとに委員個別にご意見を伺います。寄せられたご意見を当方で集約・調整し、さらにその経過について委員との意見交換を行って最終評価結果を作成します。
 「認証事業実施要綱」にもありますように、評価基準に基づいて判定していただきますが最終的には制度の特徴等を勘案して総合的に結論しますので、全員一致というわけにはいかない場合も考えられます。最終結果は理事会で決定します。あらかじめ複数委員間で合議していただくことはしません。
Q38.
 委員の資質の公平性、公正さはどのように担保?
A38.
 元来、評価は公平、公正でなければ成り立ちませんので、委員の評価は当方で行います。罰則はありませんが、学術論文におけるレフェリーのような役割ですから、資質不適格の方には評価をお願いしなくなるでしょう。